目に入ってきた光は角膜、続いて水晶体(カメラのレンズの役割を果たします)を通って屈折し、眼球の奥にある網膜(カメラのフィルムの役割を果たします)に到達します。網膜でピントがあうように水晶体の厚さを調節します。
目の屈折状態は眼軸の長さとレンズである角膜・水晶体の屈折力によって決定されます。眼軸の長さが長すぎたり、短すぎたりすると、遠くのモノが網膜にピントが合わなくなります。これが屈折異常です。遠視とは、まったく調節しない時に網膜の後方でピントが合うため、遠くを見る時は少しの調節で見え、近くを見る時は強く調節をしないとはっきり見えない目のことです。遠くでも近くでも調節が必要になり疲れやすい目です。小児の場合、遠視であっても調節力が強いため、症状が現れない場合が多いのですが、遠視の度が強くなると、内斜視になったり、視力の発達がまだ不十分な小児の場合、弱視になったりします。
斜視とは、片方の目が見ようとするものを見ているにも関わらず、もう片方の目が目標と違う方向を向むいている状態です。小児では二重に見えて、脳が混乱しないように、斜視になっている目を使わないようになるため、弱視になる場合があります。手術が適応になる斜視もありますが、遠視や斜視による弱視治療の基本は眼鏡による矯正、弱視訓練になります。その為、弱視治療には経験豊富な視能訓練士(眼鏡処方や弱視の訓練をする国家資格)が重要な役割をはたします。当院には多くの大学病院で重度の弱視のお子様の検査・治療を経験し、視能訓練士の専門学校で教員をしていた視能訓練士が在籍しています。弱視訓練は遮閉法という方法で行います。遮閉法はふつうよい方の目を隠すことによって、弱視の目を無理に使わせようとする方法です。この方法は病院だけではなく、家庭でもずっと行わないと意味がありませんので、家族の協力が必要となります。